ロレックス シードゥエラー ディープシー 116660

飽和潜水を行うプロダイバーズ向けに開発された「シードゥエラー」
このモデルを遙かに凌駕するスペックを持つ「シードゥエラー・ディープシー  Ref.116660」を買取させていただきましたので、スペックや機能などお伝えいたします

SEA DWELLER

ロレックス 116660 全体

1960年代、フランスにある潜水事業専門の会社「COMEX]は、ダイバーたちに防水能力の高いロレックスのサブマリーナーを支給していたのですが、飽和潜水を行った際、風防が吹き飛んでしまうことが多発

そこで同社の協力を得てロレックスが開発したのが、「ヘリウムガス・エスケープ バルブ」を搭載したシードゥエラーになります

ヘリウムの膨張

深海での作業を行う場合に、気をつけなければならないのが、空気中の約80%を占める窒素の存在

ある一定の深度まで潜ると、窒素が体内に取り込まれることで中毒症状に陥ってしまいます

これを防ぐためにの空気の中身を、ヘリウムガスと酸素にすることで中毒になるのを防ぐことができるのですが、ヘリウムは非常に小さな分子であることから時計の内部にも侵入してしまいます

高圧の状態で侵入したヘリウムは、上昇するにつれ膨張し時計の内側から突き破るほどの圧力になるため、サブマリーナーの風防が吹き飛んでしまったのです

ヘリウムの放出

そのためにはヘリウムガスを逃がす必要があり、そこで開発・搭載されたのがケース側部にある「ヘリウムガス・エスケープバルブ」になります

ロレックス 116660 エスケープバルブ

スプリングが取り付けられたバルブは、時計の中と外との圧力差が3~5バールに達すると、自動で作動するため操作は一切不要になっています

DEEPSEA

革新的な技術が搭載されたディープシーが登場したのは2008年の事

分厚く特殊な形、44ミリというケースサイズは衝撃を与え、ずっしりとした重量感は信頼へと変わり、瞬く間に人気モデルとなりました

メーカー ロレックス
モデル シードゥエラー ディープシー
リファレンス 116660
文字盤 ブラック
ケースサイズ 44ミリ
素材 ステンレススチール
防水 3,900m
ムーブメント キャリバー 3135
振動数 28,800
パワーリザーブ 48時間
機能 グライドロック・エスケープバルブ
参考価格

最深部への挑戦

1960年、海洋における世界最深部であるマリアナ海溝のチャレンジャー海淵への潜水を成功させたバチスカーフ・トリエステ号

10,916mの最深部から帰還したトリエステ号の外側には、「ディープシースペシャル」というロレックスの試作品が、取り付けられていました

試作品でありながら、世界最深部での水圧や環境に耐え、なおかつ正常に作動していたことから、海洋におけるパイオニアとして世界に名を轟かせることとなります

屈強なシステム

Ref.116660には約3トンもの水圧に耐えることのできるケースが備えられ、「リングロックシステム」と呼ばれる革新的な技術を搭載

ロレックス 116660 文字盤アップ 縦

窒素合金ステンレススチール製のセンターリングがシステムの心臓部であり、厚さ5mmのドーム型サファイアクリスタルとグレード5のチタン合金の裏蓋で構成されています

[marker]わずかな柔軟性があるため高い水圧が逆に裏蓋を締めつけ、さらにケースの密閉性を上げています[/marker]

そして、3,900m(1.3t)での水圧検査をするために、COMEX社にタンクの作成を依頼し、出来上がったのが、4.5tまで検査できる高圧タンク

これを使用し、ディープシーは一つ一つ厳しい基準をクリアーして、世に送り出されているのです

精度や機能

いかに壊れないケースを作成しても、大幅に時間が狂うものは時計とは呼べないもの

ディープシーのムーブメントは、スイス公認クロノメーター検査協会(COSC)の認定を受けた、キャリバー3135が搭載され高精度を実現

ロレックス 116660 文字盤アップ 横

さらに、ケーシング後の日差は-2秒~+2秒となっており、COSCの基準である-4秒から+6秒を大幅に上まっています

ブルーパラクロム

機械式時計で重要なゼンマイ部分にはロレックスが開発した「ブルーパラクロムヒゲゼンマイ」が使われ、耐磁性・耐衝撃性に加え温度変化にも強くなっており、どのような場所でもプロフェッショナルが正確な時間を知ることができるように開発されたもの

長時間ルミネッセンス

深海での作業は光が届かず暗闇での作業を強いられるため、時間を読み取るためには夜光塗料はなくてはならないものであるため、ディープシーには大型のインデックス・針・ベゼルの0にクロマライトの夜光塗料が使われ、通常の夜光の約4時間の2倍にあたる約8時間もの長時間発光が可能

発色はルミノバの緑から青へと変更され、さらなる視認性のアップに繋がっています

耐久性の向上

ベゼルの改良も大きな点であり、プラスチック素材からセラミック素材へと変更され、「セラクロムベゼル」として装着されています

目盛と数字はプラチナコーティングされ、耐衝撃・耐傷性・褪色性に優れているため、長年の使用に耐えられることができ、ダイバーのために逆回転防止となっています

隙間からの浸入

リューズには、トリプルロックを示すポッチが記され、これはチューブ側に2個・リューズ側に1個パッキンが使われることで、三重密閉構造となり水の浸入を防ぐ大きな役割をもっています

ロレックス 116660 リューズ

パッキンは劣化や取り外した際は形状が変わるため、オーバーホールの際は毎回交換することが防水性を保つうえで重要な事

容易に脱着できる

クラスプにはロレックスが特許を取得した「グライドロック・エクステンション」と「フリップロック・エクステンション」が搭載されているため容易に脱着が可能になっています

グライドロックは、このように上部を引き出すことで解放され、スライドさせることで2mm刻みで最大20mmまで延長することが可能になっています

ロレックス 116660 グライドロック

エクステンションは、収納された部分を引き出すことで延長できるもので、さらに26mmの延長が可能

ロレックス 116660 フリップロック

これらを合わせると46mmもの延長できるため、ダイビングスーツの着用時にはかかせない技術となり、どちらも特別な工具は必要ないのが大きな点であります

超合金は80年代から

これらの画期的な機能・美しさを保つために、ロレックスは1985年から「904Lスチール」と呼ばれる非常に堅牢な素材を、全てのステンレスモデルに採用し、この素材は磨き上げられることで再び美しさを取り戻すのです

ロレックス 116660 904Lスチールブレス

製造方法は、※鍛造のため大型のプレス機が必要になり高額なコストがかかるが、宇宙工学やハイテク産業でも使われる信頼度の高い素材を使用することが、ロレックスが求める美しさを表現するためには必然のものだったのかもしれません

※金属をプレスして隙間を無くし強度を上げる製造方法

ロレックスの価値

このようにロレックスは、数十年前から高価な素材を使用し、プロフェッショナルのために様々な機能を追加し、何代にも受け継ぐことができ、世界中でメンテナンスが受けられる事を考えると、コストパフォーマンスに優れ所有する喜びが生まれるのではないでしょうか

ロレックスの時計は、国内のみならず世界中に向けて販売することができるようになり、その影響で円安時にはかなりの金額で売却できるため、定価の安かった数十年前に買われた方は利益が出ることもあります

ロレックスをお持ちでしたら、古くても立派な資産ですから有効にお使い下さい

ロレックス ミルガウス Ref.116400 黒文字盤

医者や科学者向けに開発された、ミルガウスRef.116400の黒文字盤を買取させていただきましたので機能や仕様をご紹介いたします

MILGAUSS

ミルガウス116400黒 正面 縦

1956年、機械式時計が主流の時代、医師や科学者は職務の性質上、磁気に接する機会が多いため時計への影響は避けられず、悩みの種となっていることにロレックスは着目し「ミルガウス」を創り上げました

「ミル」はフランス語で「1000」、「ガウス」は磁束密度の単位からなりロレックスに多い造語になります

 

初代Ref.6541はシルバー色の有名なイナズマ針と回転ベゼルを搭載したもので、今では1千万円をゆうに超える価格で取引される幻といえるほどのモデルですので、オリジナルを見かけることはほとんどありません

何故これほどまでに高額で取引されるかというと、当時は時計の性能が専門的すぎてあまり売れる事がなく、世に出回っている絶対数が限りなく少ない事と、プレミアがつくのは何十年も先な事が多いのが原因になっています

 

2代目になるとイナズマ針が変更されたたことと、やはりモデルそのものの需要が少なく、1988年には生産終了となったため、現実的にイナズマ針が使われたミルガウスを手に入れることはできなくなっていました

 

そんな中、2007年に登場したのが今回の買取品 Ref.116400

ミルガウス116400黒 稲妻針

イナズマ針を搭載し、様々な改良が行われています

強磁性合金

磁気からムーブメントを守るために開発されたミルガウスは、時計内部に強磁性合金で作られた磁気シールドを配置することでムーブメントが保護されています

ミルガウス116400黒 裏蓋

このシールドには「B」とその上に、向かって右方向の矢印が刻印されいて、これは磁束密度を表していますが内部の刻印のため通常は見ることはできません

そのシールドの内部にはキャリバー3131のムーブメントが収められ、常磁性合金で作られたブルーのゼンマイ「ブルーパラクロム・ヒゲゼンマイ」が装備されています

一定の伸縮が不可欠なゼンマイは、磁気や衝撃により狂いが生じるため、このヒゲゼンマイを用いることでそれらを克服することが可能になっています

 

機械式時計は、通常50~100ガウスほどの磁気を浴びてしまうとムーブメントに影響がでてしまうものですが、この仕様のため1,000ガウスもの磁気もシャットダウンしてしまいます

(市販されている磁石を密着させると、800ガウスほどになります)

なお、デイト表示は磁気が侵入する開口部を減らすために採用はされていません

重要な精度

磁気シールドにより磁気から守られるキャリバー3131は、安定した精度を誇る「高精度クロノメーター」として、常に正確な時刻を表示します

その精度は、日差-2秒~+2秒に収まるもので、これはスイス公認クロノメーター検査協会(COSC)の基準の2倍を超えるもので、数十年前の曖昧だった認定方法の渦中に差別化を図るために、公認クロノメーターを取る精神が受け継がれているものだと思われます

混合ルミネッセンス

針とインデックスには夜光が塗られていますが、Ref.116400は夜光の変更前後でも販売されていたため、旧塗料であるルミノバと新塗料のクロマライトが混在しています

ミルガウス116400黒 文字盤

ですので、夜光の種類は3種類となり

  • [marker]全てルミノバ(今回の買取品)[/marker]
  • [marker]ルミノバとクロマライトの組み合わせ[/marker]
  • [marker]全てクロマライト[/marker]

このように流通しているため、夜光が気になる方は、事前にチェックされることをお勧めします

二重構造

防水100mを実現するためには、リューズからの水の浸入を防ぐために、チューブ内側とリューズの内側にパッキンが使われることで、二重密閉構造となり、リューズをきっちりねじ込むことで高い防水性が確保されています

ミルガウス116400黒 リューズ

二重密閉構造はトゥインロックと呼ばれる他、ダイバーズ仕様のモデルはチューブの内側にもう一つパッキンを用いた三重密閉構造のものがあり、これはトリプルロックリューズと呼ばれます

容易に延長が可能

ミルガウス116400黒 バックル

これまでのロレックスのモデルは、ダイバーズ系に装備されるフリップロックブレス以外では工具なしでは腕廻りの調整ができない仕様でしたが、新たに「イージーリンク」と呼ばれるエクステンション機能を使えば、容易に5mmの延長が可能になっています

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[wc_column size=”one-half” position=”first”]

ロレックス イージーリンク 閉
イージーリンクが閉じた状態

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[wc_column size=”one-half” position=”last”]

ロレックス イージーリンク 開
イージーリンクを開放した状態

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このように「引き出す」と「収納する」だけで腕廻りを調整することができ、クラスプ内で行えるため外観に影響を与えることなく夏場と冬場で自分で変更できるため、さらに所有者の満足度が向上する改良が加えられています

1985年から採用

三代目ミルガウスの素材は「904Lスチール」と呼ばれる非常に堅牢で研磨性に富んだ金属で造られていて、鍛造方式で製造されています

ミルガウス116400黒 ブレス

プレスすることで隙間がなくなり強固に出来上がるのですが、その製造には多額のコストがかかるため、採用しているのは宇宙工学やハイテク産業などに限られているのが現状であり、時計に採用できるのは世界に販売網を持つロレックスならではといえます

そのため、定期的なメンテナンスを行えば代々受け継いでいける時計であるといえ、現に数十年前のアンティークロレックスがまだまだ流通していることを考えると、新しい技術と素材が埋め込まれたこのミルガウスは、さらなる時間を刻んでくれるのではないでしょうか

 

メーカー ロレックス
モデル ミルガウス
リファレンス 116400
文字盤 ブラック
ケースサイズ 40ミリ
素材 ステンレススチール
防水 100m
ムーブメント キャリバー 3131
振動数 28,800
パワーリザーブ 48時間
機能 耐磁
参考価格

 

革新的な技術

黒文字盤の他に同時期に発売された白文字盤の他に、ガラスが薄いグリーンで造られたRef.116400GVは発売直後に品切れし、プレミア価格で販売されていました

「革新的な技術」とはこの、グリーンサファイアガラスのことで、長年の研究の末たどり着いた技術であり、耐傷性・耐蝕性に優れていますが、製造には数週間の時間が必要な工程であるとの事

この技術は特許を取得していないのが意外な事実ですが、その理由は[marker]「非常に高度な技術のため、製造を試みる者がいない」[/marker]と、公式に発表されています

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生産終了

2007年から発売された、Ref.116400も2015年になると生産終了となり、残されたのはRef.116400GVと同仕様のブルーダイヤルが特徴的な「Zブルー」のみ継続されることになりました

比較的新しい年代に8年間生産されていた事を踏まえると、販売数も多くGV仕様は継続されたため、多少の値上がりは考えられるものの急激な価格の上昇の可能性は低いと思われますが、どうなるかが分からないのがロレックスです